W不倫(ダブル不倫)の慰謝料|相手の配偶者からも請求されたらどうなる?相殺できるのかを解説
2026年10月14日
こんにちは。岐阜市の探偵事務所、探偵法務’sの野田です。
「調査で分かったのですが、夫の浮気相手も結婚していました。この場合、慰謝料はどうなるんでしょうか」
浮気調査の結果、相手方も既婚者だった、いわゆるW不倫(ダブル不倫)が判明することは珍しくありません。
そして、ここから先の考え方は、相手が独身の場合とは大きく変わります。
結論から言うと、W不倫では、あなたが不倫相手に慰謝料を請求できるのと同じように、不倫相手の配偶者も、あなたの配偶者に慰謝料を請求できる可能性があります。
夫婦で家計が一緒なら、受け取ったお金と支払うお金が、結局は同じ財布を行き来するだけになることもあります。
だからこそ、W不倫では「請求する前に全体を見渡す」ことが何より大切です。
1. W不倫の関係を整理する
W不倫では、4人の人物が関わります。ここでは次のように置きます。
- あなた(Aさん)
- あなたの配偶者(Bさん)…不倫をした側
- 不倫相手(Cさん)…既婚者
- 不倫相手の配偶者(Dさん)
このとき、請求の関係は次のようになります。
- あなた(A):不倫相手(C)、自分の配偶者(B) / 不貞行為による慰謝料
- 相手の配偶者(D):あなたの配偶者(B)、自分の配偶者(C) / 不貞行為による慰謝料
民法第709条は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。不貞行為は、それぞれの夫婦の平穏な婚姻生活を侵害するものと考えられているため、被害を受けた配偶者は2人いることになります。
出典:e-Gov法令検索「民法」第709条・第719条

2. 「相殺」はできるのか
ご相談でよく聞かれるのが、「お互いに請求し合うなら、相殺すればいいのでは?」という質問です。
民法第505条の「相殺」は、二人が互いに同じ種類の債務を負っている場合の制度です。
ところがW不倫では、あなたが請求する相手は不倫相手(C)、相手の配偶者(D)が請求する相手はあなたの配偶者(B)で、請求し合う当事者が一致しません。
そのため、法律上の相殺がそのまま当てはまる関係ではない、と考えるのが一般的です。
実際の解決の場面では、4人(あるいは2つの夫婦)の間で話し合い、「お互いに請求しない」「差額だけを支払う」といった形で合意して終わらせることがあります。
これは法律上の相殺というより、当事者同士の合意による解決です。
どのような形がよいかは、それぞれの事情によって変わりますので、具体的には弁護士にご相談ください。

3. 「離婚する・しない」で結論が変わりやすい
W不倫で特に考えておきたいのが、それぞれの夫婦が離婚するかどうかです。
■ 両方の夫婦が離婚しない場合
あなたが不倫相手から慰謝料を受け取っても、相手の配偶者があなたの配偶者に請求すれば、あなたの家計から支払うことになります。金額が近ければ、手間と時間をかけて「同じ財布」を行き来させるだけになりかねません。
■ あなたは離婚し、相手の夫婦は離婚しない場合
離婚すれば家計は別になりますので、「行き来するだけ」という問題は小さくなります。ただし、慰謝料の金額は、婚姻期間や不貞の期間、離婚に至ったかどうかなど、さまざまな事情で変わるとされていますので、双方の金額が同じになるとは限りません。
■ 相手の配偶者が、まだ不倫に気づいていない場合
あなたが請求したことで、相手の家庭に不倫が知られ、結果としてあなたの配偶者が請求を受ける、という流れも考えられます。
どのケースが有利・不利かは、一律には言えません。判断が分かれる部分ですので、請求に踏み切る前に、弁護士に見通しを確認されることを強くおすすめします。

4. 支払ったあとの「求償」にも注意
もう一つ、見落としがちなのが求償(きゅうしょう)です。
不貞行為は、配偶者と不倫相手の2人が共同で行ったものとされます(民法第719条は、共同の不法行為の場合、各自が連帯して賠償する責任を負うと定めています)。
そのため、不倫相手があなたに慰謝料を支払ったあと、「責任の一部はあなたの配偶者にある」として、あなたの配偶者に支払いを求めてくることがあり得ます。
夫婦関係を続ける場合、これもまた「同じ財布」の問題になります。示談書を作る際には、求償についてどう扱うかを、あらかじめ書面で決めておくことが重要です。
5. W不倫で請求を考えるときに確認したいこと
請求に動く前に、少なくとも次の点を確認しておいてください。
- 不貞行為の証拠がそろっているか:独身相手の場合と同じく、相手が否定したときに通用する証拠が前提です。
- 不倫相手が既婚者か否か確認できているか:相手の家族構成によって、取るべき方針が変わります。
- 相手の配偶者が不倫を知っているか:知らない場合、請求がきっかけで状況が大きく動く可能性があります。
- ご自身が離婚するか、しないか:方針が決まらないうちに請求すると、後から修正が難しくなる場合があります。

浮気調査では、不貞行為の証拠とあわせて、不倫相手の住所などを判明させます。調査の中で相手の生活状況が見えてくることもあり、W不倫かどうかが分かるだけでも、その後の進め方の判断材料になります。 証拠の考え方は浮気調査について、慰謝料の基本は慰謝料請求・離婚についてをご覧ください。
当社では、併設の行政書士TOMO法務事務所で示談書などの書面作成を承っています。相手方との交渉や裁判が必要な場合は、アフターフォローとして弁護士を無料でご紹介しています(調査をご依頼いただいた方に限ります)。
よくあるご質問
Q. W不倫だと、慰謝料は請求しないほうがよいのでしょうか。
一概には言えません。離婚するかどうか、相手の配偶者が不倫を知っているかどうかなどで、請求する意味が変わります。請求する・しないを決める前に、全体の状況を整理することが大切です。
Q. 相手の配偶者から、夫あてに慰謝料請求の内容証明が届きました。
まずは慌てて支払いや回答をしないでください。請求の内容や金額が妥当かどうかは状況によりますので、弁護士にご相談ください。
Q. 不倫相手が既婚者かどうか、調べられますか。
浮気調査の過程で、不倫相手の住所を判明させます。その過程で生活状況が分かることもあります。詳しい調査内容と費用は浮気調査の料金ページをご覧いただくか、お電話でご相談ください。
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野田 知宏Tomohiro Noda
代表取締役 / 探偵 / 行政書士
探偵法務's 代表。行政書士TOMO法務事務所の代表を兼務し、浮気・不倫の調査から慰謝料請求・離婚問題まで数千件の解決実績。一般社団法人日本探偵業協会の理事、岐阜県行政書士会の研修講師も務める。
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