社員の不正・サボりが判明したら?懲戒処分の前に会社が確認すべき5つのこと【調査後の対応】
2026年10月12日
こんにちは。岐阜市の探偵事務所、探偵法務’sの野田です。
「報告書を見て、疑いが確信に変わりました。すぐに処分したいのですが」
社員の行動調査をご報告した直後、経営者の方からこう言われることがあります。お気持ちは本当によく分かります。日報には訪問先が並んでいるのに、実際には何時間も同じ場所に車を停めていた。その写真を目の前にすれば、怒りが湧くのは当然です。
それでも、結論からお伝えすると、証拠がそろった直後こそ、処分を急がないでください。 懲戒処分は、手順や重さを誤ると「無効」と判断されるおそれがあり、せっかくの証拠が生きなくなってしまいます。なお、就業規則(懲戒の定め)の確認は、当社では調査をお受けする段階からおすすめしています。規則を確認したうえで調査を進めるのが基本です。今回は、そのうえで報告書が出た「後」に、会社が確認すべきことを整理します。
1. 調査前に確認した就業規則と、あらためて照らし合わせる
就業規則の確認は、本来、調査を始める前に済ませておくものです。当社でも、ご依頼をお受けする段階で、懲戒の種類と懲戒の事由がどう定められているかを確認していただくようおすすめしています。どんな行為が処分の対象になるのかが分かっていれば、調査で何を記録すべきかもはっきりするからです。
報告書が出たら、その条文をあらためて読み直し、判明した事実が、規則のどの懲戒事由に当たるのかを確認します。日報の虚偽記載なのか、勤務時間中の私用なのか、経費の不正請求なのか。ここが曖昧なままでは、処分の根拠になりません。
厚生労働省の「モデル就業規則」の解説では、最高裁判決(国鉄札幌運転区事件)を引いて、使用者は「規則の定めるところ」により懲戒処分をなし得るとし、「就業規則に定めのない事由による懲戒処分はできません」と明記されています。
同じモデル就業規則では、懲戒の種類として次の4つが例示されています。
- けん責:始末書を提出させて将来を戒める
- 減給:始末書を提出させて減給する
- 出勤停止:始末書を提出させるほか、一定期間出勤を停止し、その間の賃金は支給しない
- 懲戒解雇:予告期間を設けることなく即時に解雇する
また、就業規則に懲戒規定を設ける前の行為にさかのぼって処分すること、1回の違反行為に対して複数回の懲戒処分を行うことはできない、とも書かれています。調査の後で規則を整えても、すでに起きた行為には使えません。調査の前に規則を確認しておくのは、このためです。
出典:厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」第67条・第68条とその解説

2. 事実を「期間・回数・内容」で整理する
次に、判明した事実を感情抜きで整理します。行動調査の報告書は、写真と時刻で「その日、何をしていたか」を示すものです。これを、本人が提出した日報・訪問記録・経費精算と突き合わせることで、はじめて「虚偽の報告」や「勤務時間中の私用」が具体的な形になります。
整理しておきたいのは、次のような点です。
- 何月何日の、何時から何時まで、どこで何をしていたか
- それが1回だけなのか、繰り返されているのか
- 日報や経費精算に、事実と異なる記載があるか
- 会社に具体的な損害(売上の機会損失、不正な経費請求など)が出ているか
調査を1日だけ行って「サボりが1回見つかった」場合と、複数日で同じ行動が繰り返されている場合とでは、取り得る処分の重さが大きく変わります。処分の重さを決めるのは、怒りの大きさではなく、事実の積み重ねです。
3. 処分の重さが「釣り合っているか」を確認する
労働契約法第15条は、懲戒が、その労働者の行為の性質や態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効になると定めています。
出典:e-Gov法令検索「労働契約法」第15条
モデル就業規則の解説でも、規律違反の程度に応じ、過去の同種事例における処分内容等を考慮して公正な処分を行う必要があるとされています。以前、同じような行為をした別の社員をけん責で済ませていたのに、今回だけ懲戒解雇にする、といった判断は、公正さを疑われかねません。
また、処分の内容自体にも法律上の枠があります。
- 減給:1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならない(労働基準法第91条)
- 懲戒解雇で解雇予告手当を支払わずに即時解雇する場合:あらかじめ所轄の労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受ける必要がある(労働基準法第20条、モデル就業規則の解説より)
4. 本人の言い分を聞く機会を設ける
証拠がそろっていても、本人から事情を聞く場は設けてください。 「体調が悪くて車内で休んでいた」「上司の指示でその場所にいた」など、会社が把握していない事情が出てくることもあります。
逆に、言い分と証拠が食い違えば、それ自体が判断材料になります。
このとき、当社が経営者の方にお伝えしているのは、最初から報告書をすべて見せないことです。
先に「この日、どこで何をしていたか」を本人に説明してもらい、その内容と記録を照らし合わせる。最初に手の内を見せると、証拠に合わせた説明を組み立てられてしまいます。
聞き取りの日時、出席者、本人の説明内容は、必ず記録に残してください。処分の手続が公正だったことを後から示す材料になります。

5. 最終判断は、社労士・弁護士と一緒に
ここまで確認したうえで、処分の種類と重さを決めます。
ただし、懲戒処分、とくに懲戒解雇は、後から争われると会社側の負担が非常に大きくなります。処分内容の最終判断は、顧問の社会保険労務士や弁護士の先生にご相談ください。 就業規則の条文の読み方や、過去の社内事例との比較は、専門家の目を通すことで判断の精度が上がります。
私たち探偵の役割は、判断の土台になる「事実」を、第三者の記録として押さえることです。そのうえで、処分の判断は労務・法律の専門家と会社が行う。この役割分担が、結果的にいちばん揉めにくい進め方です。

6. 「まだ確信が持てない」段階なら、事実の確認から
報告を受けたものの、1回分の記録では処分の判断に足りない、ということもあります。その場合は、処分を急がず、事実の確認を重ねてください。これから調査をご検討の場合は、ご相談の前に、就業規則の懲戒の定めを手元にご用意いただくと、調査の進め方を決めやすくなります。
当社の社員の不正・サボり調査では、尾行・張り込みによる行動調査の結果を写真付き報告書にまとめてお渡しします。料金は、コミコミ8時間プランが税込88,000円/1稼働(基本経費・写真付報告書込み)です。サボっているか判断がつかない段階向けには、社有車の位置を確認できるGPSレンタル(税込27,500円/30日間)もご用意しています。詳しくは料金ページをご覧ください。長期の調査は別途お見積りです。
よくあるご質問
Q. 探偵の調査報告書だけで、懲戒処分をしてもよいですか。
報告書は事実を示す重要な材料ですが、それだけで処分の可否が決まるわけではありません。就業規則上の根拠、処分の重さの相当性、本人への聞き取りなどを含めて判断が必要です。最終的には社労士・弁護士にご相談ください。
Q. サボっていた時間分の給与を返してもらうことはできますか。
状況によります。勤務実態や賃金の定め方によって考え方が変わるため、一概には言えません。請求を検討される場合は、弁護士にご相談ください。
Q. 調査したことを、本人に伝える必要はありますか。
伝え方とタイミングは慎重に決めるべきです。当社では、聞き取りの前に報告書をすべて開示しないことをおすすめしています。進め方はご依頼の流れの中でもご相談いただけます。
ご相談・お問い合わせ
探偵法務’s(株式会社法務’s)|岐阜県公安委員会 第53160006号
- フリーダイヤル:0120-422-046(ご相談・お見積りは無料/ニックネーム可)
- 受付:緊急の浮気調査は24時間(同居されている配偶者の調査に限ります)。それ以外のご相談はお電話8:00〜20:00、お問い合わせフォーム・LINEは24時間受付
- 所在地:〒501-6112 岐阜県岐阜市柳津町北塚5丁目28番地(駐車場完備)
- 社員の不正・サボり調査の料金:https://ho-muzu.com/price/fusei-sabori-fee/
- お問い合わせフォーム:https://ho-muzu.com/contact/
ひとりで悩まず、まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
野田 知宏Tomohiro Noda
代表取締役 / 探偵 / 行政書士
探偵法務's 代表。行政書士TOMO法務事務所の代表を兼務し、浮気・不倫の調査から慰謝料請求・離婚問題まで数千件の解決実績。一般社団法人日本探偵業協会の理事、岐阜県行政書士会の研修講師も務める。
▶︎ 詳しい経歴・資格は 代表ご挨拶ページ をご覧ください。





